GX推進
2050年カーボンニュートラル(CN)に向けたトランジション戦略の策定について
株式会社ジャパンエンジンコーポレーションは、2050年カーボンニュートラル達成に向け、次世代脱炭素燃料エンジンの開発などを推進しておりますが、これまでの脱炭素経営の取組みを総括するとともに、今後の方向性を更に明確にするべく、トランジション戦略として下記の通り策定しましたので、お知らせいたします。
1.トランジション戦略の概要
(1)策定にあたっての考え方
・当社は、次代を拓く革新製品を開発・製造することで、需要家からの温室効果ガス(GHG)排出量削減に貢献するとともに、こうした製品を産み
出す事業活動からのGHG排出量についても削減を進めることで、2050年カーボンニュートラル達成に貢献してまいります。
(2)取組み事項
①製品を通じたGHG排出量の削減
・当社製品である舶用エンジンからのGHG排出量を削減することで、需要家におけるGHG排出量の削減に貢献していきます。
②事業活動におけるGHG排出量の削減
・当社製品の生産プロセスから排出されるGHG量について、直接排出(Scope1)・間接排出(Scope2)の両面から削減していきます。
③サプライチェーン全体での環境負荷軽減
・直接材、間接材ともにグリーン調達を進め、サプライチェーン全体での環境負荷軽減を進めていきます。
④グリーンファイナンスによる資金調達
・トランジション戦略を支える資金について、グリーンファイナンスによる調達を取り入れていきます。
⑤グリーン市場の創出・拡大
・業界団体を通じた活動や、関連企業とのコンソーシアム組成、共同での新会社設立、学術機関との共同研究などを通じて、イノベーションを共創し、グリーン市場を、創出・拡大していきます。
2.トランジション戦略の詳細
(1)製品を通じたGHG排出量の削減
・現行の重油燃料エンジンについては、性能改善を追求し、高効率・低燃費化を実現してきております。また、燃料油をMGO(Marine Gas Oil)とす
ることで、重油燃料エンジンよりも環境負荷を軽減するMGO専焼エンジンについても開発、製品化しております。
・これらに並行して、燃料転換によるGHG排出削減にも積極的に取り組んでおり、ファーストムーバーとして世界に先駆けて、次世代脱炭素燃料エン
ジンの開発を進捗させております。
(2)当社生産活動におけるGHG排出量の削減
・当社生産活動からの排出は、直接排出(Scope1)と間接排出(Scope2)で構成され、直接は、エンジンの組立完了後、工場出荷前に実施する
試運転で使用する燃料からの排出が主に該当します。また、間接は、工場・事務所等で使用する電気が主に該当します。
・当社は、自社における研究開発やDX推進の成果なども反映しながら、短期・中長期の時間軸で、直接・間接の双方ともに削減を進めています。
・直接排出(Scope1)
(短期)
・工場試運転時に使用する重油燃料について、低燃費エンジンの開発、製品化で使用量を削減していきます。
(中長期)
・研究開発の成果として、次世代脱炭素燃料エンジンを製品化することで、工場試運転時に使用する燃料を、脱炭素燃料へと転換していきます。
・間接排出(Scope2)
(短期)
・空調設備の更新や、工場・倉庫・事務所の照明をLED化することなどで電気使用量を削減していきます。
・DX推進の成果として、電力監視システムを活用し、社内各所での電気使用量を把握することで、使用量を効率化し、省エネ活動を推進していきます。
(中長期)
・太陽光発電システムを導入し、自家消費することで、工場使用電力を自然由来の再生可能エネルギーへと転換していきます。
なお、太陽光発電システムについては、事務所棟・倉庫棟などの屋上に2023年に設置済です。
・消費する電力からのGHG排出量を更に削減する手段として、CO2フリー電気への切替についても検討していきます。
(3)サプライチェーン全体での環境負荷軽減
・当社トランジション戦略を、サプライチェーン全体で共有することで、GHG排出量削減に向けた取組みを、自社に留まらず、サプライチェーン全体
に広げ、関係者が一丸となって推進していきます。
・直接材に加え、事務用品などの間接材についても、グリーン製品の調達を推進することで、環境負荷を軽減していきます。
<事例紹介>
・ビジネスパートナー(サプライヤー様)向け事業戦略説明会において今回策定した当社トランジション戦略を説明予定です。
・再生素材を利用したリターナブル容器(通い箱)を導入中です。
・輸送工程から排出されるGHGの削減に向け、ミルクラン方式の導入を調整中です。
(4)グリーンファイナンスによる資金調達
・当社のトランジション戦略を支える資金について、グリーンファイナンスによる調達手法を取り入れていきます。
<事例紹介>
・次世代脱炭素燃料エンジンの開発・製造に要する資金をグリーンローン
>グリーンローンによる資金調達の実施について(2023年4月28日)
(5)グリーン市場の創出・拡大
・業界団体を通じた活動や、関係先とのコンソーシアム組成、共同出資の新会社設立、産学連携の共同研究などを通じて、イノベーションを共創し、
グリーン市場を創出・拡大していきます。
・NEDOグリーンイノベーション基金事業
アンモニア燃料国産エンジン搭載船舶の開発(2021年度~2027年度)
舶用水素エンジン及びMHFSの開発(2021年度~2030年度)
※本事業では、需要家や船級協会などと連携したコンソーシアムを組成
・HyEng株式会社設立(2021年)
舶用水素エンジンの共同開発などを目的とし、共同出資の新会社を
>
3.GHG削減目標
・2050年 カーボンニュートラル
※中間段階 2030年度時点で、2013年度対比▲39.2%を達成
<削減目標の考え方>
・2015年にパリ協定が採択される中で、海事産業においては、IMO(国際海事機関)において、GHG削減目標を以下の通り定めており、わが国
では、国際海運GHGゼロエミッションプロジェクトとして、2050年カーボンニュートラルを目指しております。
<IMO GHG削減戦略>
・2030年までに2008年比で最低20%削減、30%削減を目指す
・2050年頃までにネット排出ゼロ
・また、日本のNDC(Nationally Determined Contribution)として、わが国は、2030年度において、GHGを2013年度から46%削減することを目指
しており、当社が基盤を置く兵庫県においては、産業部門で、2030年度に、2013年度比で39.2%削減を目標としております。
・こうしたことから、当社では、2050年にカーボンニュートラル達成を目標とし、その中間段階である2030年度においては、2013年度対比で39.2%
削減を目標として取組みを進めていきます。
4.ガバナンス体制
・トランジション戦略を推進するためのガバナンス体制として、取締役会、経営会議の管理監督下のもと、担当役員およびエネルギー管理統括者を
設置し、社内各部門に配置する推進者を統率しております。