共同研究で策定した「状態監視保全の対象機器及び手法の選定指針」が 「CBMガイドライン第2版」に採用
株式会社ジャパンエンジンコーポレーション(J-ENG)が2019年11月より共同研究を実施している「ディーゼルエンジン主機関におけるCBM(Condition Based Maintenance:状態監視保全)実現に向けた共同研究」の成果が、一般財団法人 日本海事協会が発行する『CBMガイドライン(第2版)』に採用されました。
1. 背景
船舶の整備には主に時間基準保全(TBM)が用いられていますが、TBM のもとでは機関の状態に関わらず2、3 年に一度検査のために数週間船の運航を止める必要があり、一方で運航中に予期しないタイミングで故障しスケジュールが大幅に遅れるといった課題があります。ICT(情報通信技術)の発達に伴い船陸間の大容量データ送信が可能となったことを受けて、J-ENGでは、CBM に着目した最適なメンテナンスを行うための共同研究を船会社、船級協会とともに2019 年11 月より実施しております。
研究内容 | パートナー |
ディーゼルエンジン主機関におけるCBMに向けた共同研究 | 日本郵船株式会社、株式会社MTI(日本郵船グループ) 一般財団法人 日本海事協会
株式会社ジャパンエンジンコーポレーション
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2. 共同研究概要の成果
このたび共同研究で策定した「状態監視保全の対象機器及び手法の選定指針」が「CBM ガイドライン第2版」に採用されました。「状態監視保全の対象機器」「状態監視保全の手法」「CBM 方式を採用する場合の検討」の観点からリスク評価に基づく方法を説明しています。
また、異常検知の検出確度検証のため、軸受温度センサーを軸受テストベンチに設置し、軸受の潤滑油出口温度を監視することで、温度変化から軸受損傷の判別が可能であることを確認致しました。船用大型ディーゼルエンジンの軸受に本センサーを設置する事で軸受の温度データと運航データを詳細に取得し、船会社及び船級協会とリアルタイムにデータを共有することができる「ディーゼルエンジン主軸受状態監視装置」を開発しました。今後、本装置を石炭船「能代丸」に実装し、CBMの船級符号の付記(ノーテーション)を申請する予定です。
3. 今後の展開
次世代CBM手法の開発を共同研究パートナーと続け、将来的には、AI(人工知能)が機関プラントの状態を常時監視し、運航スケジュールなどの情報を組み合わせて自らがメンテナンス時期を判断する自律型の次世代CBMへの発展を目指します。次世代CBMの確立は、船舶の高度自動化、延いては自律化へのステップであり、日本郵船グループが目指す有人自律運航船の実現にも大きく寄与できる革新的な手法です。
J-ENGは、船舶の高度自動化、自律化が発展する中、IoTやAIを用いた技術開発とサービス提供に積極的に取り組み、今後も海事業界の持続的な発展に寄与して参ります。
<一般財団法人 日本海事協会プレスリリース>
<日本郵船株式会社プレスリリース>
<株式会社MTIプレスリリース>
本件に関するお問合せ先
株式会社ジャパンエンジンコーポレーション
担当窓口:総務広報課
TEL:078-949-0800