世界初、大型低速2ストロークエンジンで、次世代船舶向けゼロエミッション燃料であるアンモニア混焼運転を開始、並びに、大型低速2ストロークエンジン用水素燃料噴射装置の試験を開始しました
株式会社ジャパンエンジンコーポレーション(J-ENG)は、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「グリーンイノベーション基金事業/次世代船舶の開発」プロジェクトにおける、大型低速2ストロークエンジンとしての取り組みをスケジュール通りに進捗しており、この度、世界で初めて、ゼロエミッション燃料であるアンモニア燃料混焼運転を開始しました。
また同時に、水素燃料エンジン用の水素燃料噴射装置の試験を開始しました。
アンモニア燃料試験エンジンは、三菱重工業株式会社 総合研究所 長崎地区に設置されており、J-ENGの固有技術である層状噴射システムを適用した大型低速2ストロークエンジンです。J-ENGは、この試験エンジンにおいて、今後約1年間に亘り、様々な条件下でのアンモニア燃料運転を実施します。
また、同試験エンジンへアンモニア燃料を供給する設備も、試験エンジン建屋の隣接地に新たに設置しており、この設備の運用などで得られた知見・経験を、船舶用のアンモニア供給設備の開発へ展開して参ります。
また、この試験エンジンによる試験と並行して、フルスケール実証用アンモニア燃料エンジンの開発・設計・製造を進め、2025年において約半年間の実機検証運転を経た後、同年9月の完成を予定しております。
水素燃料エンジンにつきましては、そのキー技術のひとつである水素燃料噴射装置を、J-ENG明石本社工場に設置し、その作動試験を開始しました。J-ENGは、今後1年以上に亘り、この装置を活用し、水素燃料噴射装置の構造や仕様などの設計細部の検証を進め、基礎データを蓄積して参ります。その後、フルスケール実証用水素燃料エンジンの開発・設計・製造を進め、2026年において約1年間の実機検証運転を経た後、2027年3月の完成を予定しております。
J-ENGは、アンモニア燃料試験エンジンと水素燃料噴射装置の活用を通して、性能・品質・安全性などを徹底的に検証し、経済性と環境性能のバランスに優れた次世代エンジンの開発に邁進して参ります。
そして、これら次世代エンジンの早期市場投入と普及を図ることで、日本の海運・造船業界の発展に寄与すると同時に、海運業界におけるGHG(温室効果ガス)削減と、2050年カーボンニュートラルの実現に貢献して参ります。
<備考>
アンモニア燃料は、難燃性の燃料であり、効率良く燃焼させ、温暖化係数の高い亜酸化窒素(N₂O)の発生を最小限に抑えることが技術課題となります。当社のアンモニア燃料エンジンでは、当社独自技術である「層状噴射技術」を活用し、最適な燃焼制御を行うことで、これらの課題を解決します。
将来的なアンモニアのインフラ整備の進捗や価格、環境規制の動向に応じて、様々な船舶の運航形態に応じたアンモニア混焼率の設定が可能です。
水素燃料は、着火しやすく燃焼速度が非常に早いことから、その燃焼を安定的にコントロールすることが課題となります。当社では、燃焼室内が高温高圧に到達した時点で水素を直接噴射する「高圧噴射方式」などを用いた水素燃料エンジンを開発中です。
さらに、電気着火方式を用いて、更に環境性能の高い水素専焼エンジンの実用化を目指しています。
本件に関するお問合せ先
株式会社ジャパンエンジンコーポレーション
担当窓口:総務広報課